HOME > 取引を学ぶ > 為替の変動要因 通貨の特徴

  • 外国為替証拠金(FX)取引
  • 為替の変動要因
  • 主な中央銀行の役割
  • 中央銀行の介入とは?
  • 通貨の特徴

それではここで大雑把に主要通貨の動き方などを見て行きましょう。
経済指標は何処の国でも失業率や消費者物価指数は大切な経済指標ですが、経済指標を見る際には「今、何が相場のテーマになっているか」を考える必要があります。例えば「金利」なのか、戦争やテロなどの「地政学的リスク」なのかマーケットの関心事は何処にあるのか判断する事が大切です。

また普通は悪い経済指標が出るとその国の通貨は売られやすくなりますが、例えば「失業率は悪いに決まっている」とマーケット自体がその事を想像し受け入れている時は例え悪い数字が出ても「織り込み済み」としてマーケットが何の反応も示さない時があります。その反対に思ってもいない良い数字が出るとその国の通貨が買われる事もあります。マーケットが動くには「サプライズ」が必要なのです。

日本円/JPY

特徴欧州連合(EU)の欧州経済通貨統合(EMU)として参加国は自国通貨を永久放棄して、単一通貨ユーロを使用しています。
現在のユーロ参加国はベルギー、ドイツ、ギリシャ、スペイン、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランド、ギリシャですが、その他にもサンマリノ、バチカン、モナコで流通しています。これらの国はEU参加国であるフランス(モナコ)、イタリア(バチカン、サンマリノ)とユーロ使用についての条約を結び、EU議会の承認も受けています。

ユーロ導入の利点としては、①圏内の両替が不要、②価格の比較が簡単、③圏内では国が違っても為替リスクが発生しない事などがあげられます。
経済規模は大きいものの、その内容は国によってまちまちで中心となっているドイツやフランスの経済指標は必ずしも良いものとは言えません。しかしユーロに入っている以上、ECBの政策に統一化されてしまいます。

ユーロ経済は今後益々大きくなり、将来的には第二の基軸通貨としての名声を勝ち得るのでしょうが、今はまだ評価も定まっておらず他の通貨に対して「消去法的」に売られたり買われたりの事も多く、中国が外貨準備の中にユーロを組み込んだり、中東における原油の代金の決済をユーロに切り替える動きも出てきましたが、まだまだ「他力本願」の状態であると考えられるでしょう。

相場が動くのは東京時間よりもやはり欧州勢が参加してからです。ユーロとスイスフラン、ポンドなどのクロス取引も盛んです。日中はユーロに関するニュースが出にくいので、ユーロ/円を見る時はユーロの要因で動いているのかドルが要因で動いているのかを見極める必要があります。
注目すべき経済指標日本銀行企業短期経済観測調査(日銀短観)
日本銀行が年4回2月、5月、8月、11月に行っている経済の先行き等に対する企業アンケート調査結果をまとめたもので、発表は翌月に行われます。
調査は資本金10億円以上の上場企業を対象にしたものと、全国の中小企業を加えたものの2種類があり、業績や業況、設備投資額、雇用などについて実績や今後の実績予想をアンケート調査します。
景気が良いと答えた企業の比率から悪いと答えた企業の比率を引いた景気動向指数(DI)の結果が注目されます。

米ドル/USD

特徴基軸通貨として一番の売買高を誇るドル。以前は「有事のドル買い」と言って例えば戦争などがどこかで起こるとすぐさまドルが買われていたほどでしたが、双子の赤字など国内の問題や、2001年9月11日には以前では考えられなかった米国本土での同時多発テロが発生するなど、ドルの信用力も以前ほどではなくなりました。
注目すべき経済指標 ISM製造業指数
ISM(Institute of Supply Management)全米供給管理協会が発表する指数。400社以上の企業の購買部に対して、受注残や生産状況、在庫などについての状況を製造業指数と非製造業指数に分けて50%を分岐点として前月比で表わします。

消費者信頼感指数
現在と六ヵ月後の経済、雇用、所得の景況感を調査したもので、個人消費の動向を把握するのに不可欠な指標です。強めの数字が出ると、「個人消費の増加」「貯蓄率の低下」が生じるとされています。

消費支出
消費支出(Consumer Expenditure)の調査方法は回答者に二週間にわたって毎日の支出を家計簿のようにつけてもらい、食品や衣料品など購入の頻度が高く、いつどこでどれくらいのものを買ったのか忘れてしまうような品物に対してのデータを取るものと、18ヶ月間の間、5回のインタビュー調査を行って自動車や土地などの買っても忘れないようなものの購入のデータを取るものの二種類に分かれています。

卸売物価指数(食品、エネルギー以外)
別名PPI(Producer Price Index)。約1万品目の卸売り段階での物価を調査したもので、インフレ率の判断材料とされています。変動幅の大きいエネルギー及び食品を除いた「コア」指数が特に大切です。

消費者物価指数
CPI(Consumer Price Index)とも言われています。
基準となる年を100として、その基準年の価格と比べてどれぐらい物価が変化したかを調べるものです。物価指数が200になったということは物価が倍になった事を示します。

国内総生産
別名GDP(Gross Domestic Product)と呼ばれています。
価値の総額を示します。通常はGross Domestic Productの頭文字をとってGDPといいます。生産者、あるいは労働者(国籍は関係なく)その国の領土内で生産された財やサービスの価値額を計上したものです。

ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大学消費者信頼感指数(University of Michigan’s Consumer Sentiment Index)は文字通りミシガン大学が「これから買うつもりがあるかどうか」と言う消費者のセンチメントを調査・指標化するものです。

失業率
失業率(Unemployment Rate)。失業者を労働者人口で割った数字を~パーセントで表しています。前月分の調査が翌月の第一週に判るので、経済動向を把握する為の重要な指標とされています。
「失業者」の定義としては米国の対象年齢は16歳以上(日本は15歳以上)が対象となり、調査期間中(毎月12日を含む週)に職は持っていないものの、過去4週間以内に(日本では1週間)求職活動を行ったことのある人が対象となっています。
30日以内に仕事が始まるのを待っている人や休職中の学生、更にはレイオフ(一時帰休)で一時的に失業状態である人も含まれている点などが日本の統計方法と異なっている点です。

非農業部門就業者数
非農業部門の新規雇用数(Nonfarm Payrolls)。失業率などと同時に発表されます。農業部門の中には季節労働者を含める為、その人達を除いた就業者数が重視されています。非農業部門の事業所の支払い帳簿を元に作成されるので雇用主から給与を与えられた人の数値となる為、経営者及び自営業者は省かれています。
米国では業績悪化でレイオフを行う事が多い為、この数値は景気との強い連動性があります。

新規失業保険申請件数
新規失業保険申請者数(Initial Jobless Claims)は失業した人が失業保険給付を申請した件数を集計したもので毎週発表されます。
従って速報性が高く、翌月の雇用統計の結果を予測する為に使われています。

貿易収支
貿易収支(Trade Balance)とは簡単に言えば輸出等によって米国国内に国外から流入した金額と輸入等によって米国国内から国外に流出した金額を対比させるものです。
その他:フィラデルフィア連銀景況指数、耐久財受注、小売売上高、生産者物価指数、 設備稼働率、新規住宅着工件数、経常収支など

鉱工業生産
鉱工業生産(Industrial Production)は生産業に従事する人がどれだけの製品を生産したか示す指標で、景気の良い時は消費が盛んになるので生産量が増える傾向にある事から、景気の動きを表すバロメーターとされています。

ユーロ/EUR

特徴日本の経済指標は日銀短観以外はあまり注目されていません。
しかし突然に良すぎる数値が出た場合は大げさに反応する事もあります。
内閣や選挙結果などで何か問題があった場合、東京時間ではあまり動かなくても海外時間では敏感に反応することもあります。
また中国や北朝鮮などで問題が起きた場合、地理的に近い日本の円が売られたりします。
注目すべき経済指標IFO(Informatio und Forschung, Information and Research)景況指数
毎月1回。1949 年に創設されたIFO経済研究所が製造業と建築業、輸出入業、銀行、保険などの企業をメインにドイツの約7000社にアンケートをして企業の景況感を調べています。

ZEW(Zentrum fur Europaische Wirtschaftsforschung, Centre for European Economic Research) 指数
毎月一回。欧州経済研究センターによる。IFOと同じく企業の景況感を示しますが、IFOより一週間早く発表されます。

マネーサプライ
マネーサプライ(通貨供給量Money Supply)は個人や企業が持つ、お金の量のことです。マネーサプライが増えると言う事は、世の中の景気が良くなっていることを示し、景気が悪い場合にはお金の周りが悪くなります。
銀行が持っているお金は個人や企業の間に出回っているわけではないので除かれます。「お金」の定義には現金やすぐに出せる預金などがあり、どこまで含めるかによって種類があり、M1、M2と言った分類に分かれていますが分け方は国によっても違うようです。(以下は大雑把な分け方です。)注目されるのは日本がM2+CD、米国、ドイツがM3、英国がM4となっています。

M1=現金+普通預金
M2=現金+普通預金+定期預金
M3=現金+普通預金+定期預金+金銭信託+貸付信託
M4=現金+普通預金+定期預金+金銭信託+貸付信託+金融債
M5=現金+普通預金+定期預金+金銭信託+貸付信託+金融債+国債

その他
PPI、失業率、貿易収支、消費者景況感指数、CPIなど

ポンド/GBP

特徴ポンドはその昔は基軸通貨として重要な役割を果たしていました。しかし今ではその地位をドルに譲り、ポンドは高金利通貨としてユーロや円には及ばないものの確固たる地位を築いています。
通常は「ポンド」と呼ばれていますが「スターリング」とか「ケーブル」と言う愛称も持っています。ユーロと似たような動きをする事も多いですが、「クイーンの国」であるオージーやニュージーランドドル(愛称キウイ)などと似たような動きをします。

投機的な資金も入りやすく動きだすと乱高下になるのも特徴です。その為損切りを早めに実行する事が重要です。また日本時間ではほとんど動かず欧州時間になってから良く動きます。

今後はユーロ導入を巡った噂やニュースが相場を動かす事も多くなりそうです。
高金利ゆえ金融当局者などからの金利に関するコメントに敏感でMPCの議事録などが出るとその内容で大きく動く事もあります。
注目すべき経済指標CIPS製造業指数
CIPS製造業指数(Chartered Institute of Purchasing and Supply)は英国内620社を対象にアンケート調査を実施し、製造業の雇用、生産、受注、原材料価格、在庫など一連の工程すべてを判断基準として業況指数を算出しています。指数が50ポイントを上回ると「拡大」、50ポイント未満なら「縮小」を示めしています。
その他:M4マネーサプライ、鉱工業生産、景気一致・先行指数、RPI小売価格指数、 新規住宅着工、失業率、貿易収支、CPI、小売売上、GDP、など

オーストラリアドル/AUD

特徴ドルやユーロに比べて金利も高い通貨で「オージー」の愛称でも知られています。
資源国の通貨としてニュージーランドドルと似た動きをしますが、ユーロに追従する形で動く事も多いようです。

高金利を理由に日本からの資金も入りますが、オージー/円のクロス取引はインターバンクではまず行われず、「オージードル/ドル」と「ドル/円」に分けて取引されます。その為、「オージー/円」で相場を見るだけではなく、「オージードル/ドル」と「ドル/円」の動きを良く見る事が大切です。
注目すべき経済指標NAB銀行景況指数(National Bank of Australia Business Survey)、小売売上高、建設認可、失業率、住宅ローン、貿易収支など。

スイスフラン/CHF

特徴スイスフランの代名詞「安全通貨」。
それまで「有事のドル買い」と言われ国際的な不安時に買われる傾向にあったドルが2001年の米同時多発テロ以降、その地位を失墜し、その代わりに永世中立国スイスのスイスフランがテロや戦争の勃発時に買われる場面が圧倒的に多くなりました。(しかしながら永世中立国であるという事は他国への侵略行為をしない反面、侵略されても他国に助けを求める事が出来ない事でもあるので、自分の国を自分で守る為の強大な軍事力を持っています。)
円と同じく低金利通貨として、資金調達通貨としても貴重な存在となっています。緊急時に買われる通貨だけにそのリスクが緩和されると売られる傾向があります。
欧州圏にあるため、ユーロと連動して動きやすい通貨と言えるでしょう。
スイスから大部分が欧州、特にドイツへの輸出額が多くを占めている事から、欧州経済の良し悪しがスイスの経済にも大きく影響しているということもポイントです。
また地政学的リスクが高い時は原油、金、スイスフランの動きをそれぞれ見比べてみると面白いかもしれません。

スイスフランの略号CHFはスイスの国名がラテン語で”Confederatio Helvetica”である事からその略号が使われています。
注目すべき経済指標KOF先行指数
KOF先行指数(Konjunkturbarometer)は6-9ヶ月先の経済を6つの経済指標で計算する指数でスイス経済活動調査センター(Konjunkturforschungsstelle Eidgenossische Technische Hochschule)により発表されています。

その他:CPI、失業率、貿易収支、SECO消費天気図、SVME PMIなど。
戻る